【宅建過去問】(令和03年12月問44)重要事項説明書(35条書面)(個数問題)
出題時は、誤植により複数解になった問題。
誤植を訂正し、正解が一つに決まるようにしてあります。
宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明についての次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
- ア 賃貸借契約において、取引対象となる宅地又は建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されている場合には、当該図面における当該宅地又は建物の所在地を説明しなければならない。
- イ 賃貸借契約において、対象となる建物が既存の住宅であるときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。
- ウ 建物の売買において、その建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその措置の概要を説明しなければならない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- なし
正解:3
ア 正しい
「水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面」というのは、いわゆる水害ハザードマップのことです。正式名称で言われても、水害ハザードマップのことだと分かるようにしておきましょう。
取引対象となる宅地又は建物の位置が水害ハザードマップに表示されている場合、宅建業者は、その所在地を説明する義務を負います(表の⑨。宅建業法35条1項14号、規則16条の4の3第3号の2)。
「水害ハザードマップ上の所在地」は、⑥造成宅地防災区域・⑦土砂災害警戒区域・⑧津波災害警戒区域と同じグループ、つまり、「災害の際に素早く避難できるよう避難所・避難ルートなどの情報を確認しておかなければならない!」というグループです。「建物の賃貸人なら逃げ遅れても仕方ない。」そんなことはあり得ません。
したがって、売買でも貸借でも、宅地でも建物でも、すべてのパターンで重要事項とされています。
■参照項目&類似過去問
内容を見る取引物件に関する重要事項(⑨水害ハザードマップ上に表示されているときは、その所在地)(宅建業法[11]2(2)⑨)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R06-37-ア | 建物の貸借の媒介を行う場合、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村の長が提供する水害ハザードマップに当該建物の位置が含まれているときは、その所在地を示して説明しなければならない。 | ◯ |
| 2 | R04-36-3 | 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面にその位置が表示されている場合には、当該図面が存在していることを説明すれば足りる。 | × |
| 3 | R03s-44-ア | 賃貸借契約において、取引対象となる宅地又は建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されている場合には、当該図面における当該宅地又は建物の所在地を説明しなければならない。 | ◯ |
| 4 | R03-33-1 | 宅地建物取引業者は、市町村が、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことを確認できた場合は、重要事項説明書にその旨記載し、重要事項説明の際に提示すべき水害ハザードマップが存在しない旨を説明すればよい。 | ◯ |
| 5 | R03-33-2 | 宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む「洪水」、「雨水出水(内水)」、「高潮」の水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明の際にいずれか1種類の水害ハザードマップを提示すればよい。 | × |
| 6 | R03-33-3 | 宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、売買又は交換の媒介のときは重要事項説明の際に水害ハザードマップを提示しなければならないが、貸借の媒介のときはその必要はない。 | × |
| 7 | R03-33-4 | 宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明書に水害ハザードマップを添付すれば足りる。 | × |
イ 正しい
(肢アの表の⑬参照。)
既存住宅の売買・貸借については、1年以内(鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の共同住宅等の場合は2年以内)に「建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要」が重要事項とされています(宅建業法35条1項6号の2イ、規則16条の2の2)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る取引物件に関する重要事項(⑬建物状況調査の結果の概要)(宅建業法[11]2(2)⑬)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R07-37-4 | 鉄筋コンクリート造の既存の共同住宅の販売を行う場合、宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を1年6か月前に実施したときは、建物状況調査を実施したこと、その結果の概要について説明しなくてはならない。 | ◯ |
| 2 | R06-37-イ | 既存住宅の売買を行う場合、宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査の実施後、1年を経過していないものについては、建物状況調査の実施の有無、実施している場合の結果の概要について説明しなければならない。 | ◯ |
| 3 | R04-34-1 | 宅地建物取引業者が木造建物の売買の媒介をする際、当該建物が既存の建物であるときは、宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を過去1年以内に実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。 | ◯ |
| 4 | R03s-44-イ | 賃貸借契約において、対象となる建物が既存の住宅であるときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。 | ◯ |
| 5 | R02-31-3 | 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは、建物状況調査を実施しているかどうかを説明しなければならないが、実施している場合その結果の概要を説明する必要はない。 | × |
| 6 | H30-27-3 | 宅地建物取引業者Aは、Bが所有し、居住している甲住宅の売却の媒介を、また、宅地建物取引業者Cは、Dから既存住宅の購入の媒介を依頼され、それぞれ媒介契約を締結した。CがDとの間で媒介契約を締結する3年前に、甲住宅は既に建物状況調査を受けていた。この場合において、A及びCは、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、建物状況調査を実施している旨及びその結果の概要について説明しなければならない。 | × |
| 7 | H30-39-2 | 宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。 | ◯ |
ウ 正しい
宅地・建物の売買については、「契約不適合担保責任の履行確保措置を講ずるか、講ずる場合は措置の概要」が重要事項とされています(表の⑦。宅建業法35条1項13号、規則16条の4の2)。
※「契約不適合担保責任の履行確保措置に関する定め」は、売買に関する37条書面の任意的記載事項です(宅建業法37条1項11号)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る取引条件に関する重要事項(⑦契約不適合担保責任の履行確保措置)(宅建業法[11]2(3)⑦)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R03s-44-ウ | 建物の売買において、その建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその措置の概要を説明しなければならない。 | ◯ |
| 2 | H30-35-3 | 宅地建物取引業者間の建物の売買においては、その建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結などの措置を講ずるかどうか、また、講ずる場合はその概要を重要事項説明書に記載しなければならない。 | ◯ |
| 3 | H26-34-3 | 建物の売買の媒介を行う場合、売主が特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託を行うときは、その措置の概要を説明する必要があるが、当該建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結を行うときは、その措置の概要を説明する必要はない。 | × |
| 4 | H22-36-2 | 自ら売主となる新築住宅の売買において、重要事項の説明の時点でその新築住宅が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関する責任保険の契約を締結する予定であることは説明したが、当該責任保険の概要については説明しなかった。 | × |
| 5 | H19-35-4 | 宅地の売買の媒介において、当該宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結等の措置を講じないときは、その旨を買主に説明しなくてもよい。 | × |
まとめ
正しいものはア・イ・ウの全てです。正解は、肢3。






イの選択肢について
建物状況調査の説明義務については、期限内に状況調査を行っている場合に説明が必要だと覚えていました。
そのため、問題文で建物状況調査を行なったタイミングが示されていないので、正誤判定ができないので、どちらかといえば誤りの選択肢だと思いました。
覚え方や考え方が間違っているのでしょうか。
少し前の問題ですが、ご教示頂けると幸いです
(1).建物状況調査の実施時期が「記載されていない」場合にどう扱うか
この点は、おっしゃる通りです。
問題は、「では、建物状況調査の実施時期について何も書いていない場合はどう扱うか?」という点です。
この選択肢イを「正しい」とした以上、宅建試験では、以下の考えが正しいということになります。
★実施時期について何の記載もない場合→期間内に実施したものと考える→「有」+「概要」を説明
(2).この問題以外の過去問での扱い
この考え方は、同様の書き方(実施時期の記載なし)である次の2問にも共通します。したがって、宅建試験での一貫した出題ルールと扱うべきです。
(3).実施時期に関する記載が「ある」場合
実施時期に関する記載があれば、それが期間内のものかどうか、を検討する必要があります。具体的に言うと、建物の構造も考慮しつつ、
と判断することになります。
フローチャート方式でまとめると、以下の通りです。
「実施時期に関する記載があるか」→No→期間内のものと考える→「有」+「概要」を説明
Yes↓
「期間内に実施したものか」→Yes→「有」+「概要」を説明
No ↓
「無」と説明
ア・イに関して、自社物件の賃貸借であれば自ら賃貸で宅建業法に当たらず、両選択肢とも誤りになると思ったのですが、今回のように自ら取引か媒介か記載されていない場合にはどのように考えたら良いでしょうか。
いっちー様
ご質問ありがとうございます。
基本知識の確認
「自ら貸借の当事者になる場合」は、そもそも「宅建業」に当たらない点、おっしゃる通りです。
それを考えると、この問題も、「賃貸借を媒介する場合」などと限定するほうが厳密であること、これも明らかです。
この問題での考えかた
しかし、その「基本知識」を絶対視してしまうと、選択肢ア、イに関しては、「正しいとも誤りとも決められない。」ということになります。
この問題は、そもそも成立していないことになってしまうのです。
また、問題文に「重要事項の説明についての次の記述」とある点から見ても、重要事項説明が必要な場面、すなわち、
と考えることができるように思います。
本試験での考えかた
本試験では、「選択肢が正しいか誤りか、が確定する。」、「正解肢が1つに決まる。」という視点が重要になるケースがあります(2~3年に1問程度)。
イザというときのために、意識しておきましょう。
水害ハザードに表示されていなければ所在地等は説明不要ですよね?
瑛太様
ご質問ありがとうございます。
宅建業法とその施行規則のみを基準にすれば、おっしゃる通りです。
しかし、ハザードマップと重要事項については、過去に、以下のような知識も問われています。
宅建業法や同法施行規則に限定せず、『解釈・運用の考え方』や『Q&A』の記載にも注意することをお勧めします。
(当社のスリー・ステップ講座をお使いであれば、講義の中で必要な論点には触れています。『考え方』や『Q&A』の実物を自分で参照する必要はありません。ご安心ください。)